“森・樹・林業”について -その3-
2023.7.27
猛暑の季節になってまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
前回のコラムを書いてから、半年以上が経ってしまいました。5月に「そろそろ次のコラムを!」とご依頼をいただきそのタイミングで、「そうだ!今年大豊作だったタケノコのことを書こう!」と思ったのですが、いろいろな団体の年度替わりの、総会や役員会での出張やら何やらが続き、ついつい今になってしまいました。
ということで申し訳ないのですが、季節外れのタケノコのことを書かせていただきます。
私の家には、家のすぐ裏と車で数分くらいのところに孟宗竹の竹藪があります。シーズンは4月に入る頃からG.W.頃まで。タケノコは大好物で、物心ついた時には、父について唐鍬(植林する時などに使う鍬)を手に、タケノコを掘りに行っていました。いつもシーズン近くになると、もうそろそろかな、そろそろかなと、早起きして見回りに出かけます。そして毎年、初物の写真はSNSでたくさんの「いいね!」をいただきます。
今年撮った写真とそれを掘っている動画をつけてみます。
掘る時のコツを言いますと、タケノコは地下で曲がって出てきてるので (写真右奥のタケノコは左側から、手前のは右側から上に出てきています)、それを見極めてそこに鍬を入れると、あまり大きな穴を掘らなくても、動画のように割と簡単に掘りだすことが出来ます。掘ったタケノコは袋に入れて担ぎ出すのですが、今年は大豊作で、何往復もして、それはそれは大変でした。写真はそんなある日の軽トラです。
大変そうでしょう(笑)。このあと森林組合の玄関に横付けして、恒例の「ボーナスの代わりや~」と笑いながら職員さんに配りました。
掘ったタケノコは、出始めにお隣さん、そしてご近所、森林組合や毎年待ってくれている人へと順にお届けしていきます。今年は大豊作すぎて、それが2度目3度目、そしてとうとうさばき切れなくなってしまいました。村の中を走り回って知り合いを見かけるたびに「タケノコいらんかい?」と声をかけたり、街まで出かけて、高校時代の下宿のご近所さんや、十数年ぶりの同級生と、思いつく限りの知り合いに配り歩いてさばき切りました。
「えらい騒ぎして掘ってきたもの、人にあげてしまわんと売ったらええのに!」と言われるのですが、基本的に売り物と思っていません。これがいくらになるとか考えると、惜しげもなく配り歩くことが出来なくなりそうで、それより、お返しで思いがけない贅沢な食卓になったり、この機会に話しする人が出てきたり、コミュニケーションが取れることの方が楽しいのです。今年はおかげで、長らく会ってなかった友達と会う理由になりました。
配るのも楽しみですが、大好物でもあります。特にお店には並ばない、少し青くなりかけた育ちすぎの物の根元の方を、パリン!パリン!と割れるような音を立てながら食べ始めると止まらなくなってしまいます。以前は塩漬けにしてみたり、保存も考えたのですが、最近は一年分を、一番おいしい旬に食べて、また来年を待つことにしています。
田舎暮らしの一端を感じていただけたでしょうか?
タケノコを語るとまだまだ尽きないのですが、今回は、これで失礼します。
著:龍神村森林組合 組合長 眞砂(まなご)